「何度言ってもルールを守らない」「すぐに脱線してしまう」――ADHDのある子どもとの暮らしで、家庭内のルールづくりに悩んでいませんか?
私自身、ADHDの子を育てながら、数えきれないほどの“失敗”を経験してきました。
でも、ちょっとした工夫や考え方の転換で、驚くほど子どもが変わる瞬間もありました。
この記事では、ルールづくりでのリアルな失敗談と、小さな成功体験をもとに、親子で前に進むヒントをお伝えします。
1. 「ルールなんて通じない?」―ADHDの子育てで感じる日常の葛藤
朝「早く着替えて!」と言っても、いつまでもテレビの前から動かない。
宿題をしようとしても、すぐに消しゴムを飛ばして遊び出す。
「うちの子にはルールが通じない…」
そんなふうに感じることはありませんか?
私も同じでした。ADHDのあるわが子を育てている中で、何度もルールを決めましたが、うまくいかずに何度も悩みました。
「ダメって言ってるのに、どうして何度も同じことをするの?」「ちゃんと伝えたはずなのに…」
でも、あとで気づいたのです。うまくいかないのは、子どもに“やる気”がないからではなく、“やり方”が子どもに合っていなかったからだということに。
2. ADHDの特性を知ろう:なぜ「普通のルール」が通じにくいのか?
ADHDというのは、「注意がそれやすい」「思いついたことをすぐに行動してしまう」「待つのが苦手」といった特徴がある子どもたちのことをいいます。
たとえば…
- 注意がそれやすい → ルールの話をしていても、他の音や光に気を取られてしまう
- 思いついたらすぐ行動 → 「今はダメ」が頭から抜けて、すぐにやってしまう
- 待つのが苦手 →「あとで」「○時になってから」が理解できても待てない
こうした特徴のせいで、「言ったのにできない」「何度も同じミスをする」ことがよくあります。
でも、これは「わざと」ではありません。ADHDの子どもにとって、“ルールを守ること”そのものがむずかしいチャレンジなのです。
3. 【実例紹介】わが家のルールづくり、成功と失敗
◆失敗例:時間を守るルールがうまくいかなかった朝のバトル
「朝7時になったら着替える」とルールを決めました。
でも実際は、テレビに夢中で、何度声をかけても動かない…。
イライラして「何回言えばわかるの!?」と怒ってしまい、親子で泣いてしまう日もありました。
このときは、“時間”や“言葉だけのルール”が、わが子にはわかりにくかったのです。
◆成功例:目で見えるスケジュール表
そこで、時計の横に【朝のやることリスト】を絵で描いて貼りました。
「着替え」「朝ごはん」「歯みがき」「ランドセルを持つ」などをイラストで並べたのです。
さらに、できたらシールを貼る仕組みにしたら、
「よーし、やるぞ!」と目をキラキラさせて自分から動き出すように!
見える化とごほうびで、少しずつ成功体験が積み重なっていきました。
◆失敗例:ごほうびばかりを求めてしまった
ただし、ごほうび作戦にも落とし穴があります。
最初は「できたらゲーム10分ね」とやっていましたが、ある日「ごほうびないならやらない」と言われてしまい…。
このときは、「できたことを自分でうれしく思えるようにする」ことが大事だと気づきました。
4. 専門家ママが伝えたい、ルールづくり5つのヒント
わが家でたくさんの失敗と成功をくり返してきた私から、
同じように悩むママたちに伝えたいヒントがあります。
① 短く、具体的に伝える
「ちゃんとして」よりも、「イスにすわって10数える」など、やることを短く具体的に。
② 見える形で伝える
文字や絵、写真、カラフルな表など、視覚的な工夫があると、理解しやすくなります。
③ できたらすぐにほめる
「できたね!」「よくがんばった!」と、その場ですぐ伝えると、自信になります。
④ 小さな成功を大事にする
全部できなくてもOK。一つでもできたことに目を向けて、成功体験にしていきましょう。
⑤ 子どもと一緒にルールを考える
「どんなルールがいいかな?」と、子ども自身が決めたルールの方が守りやすいです。
5. 【まとめ】「できない」は伸びしろ:ルールづくりは“親子の学び”のチャンス
ADHDの子育てでは、ルールがすぐにはうまくいかないことも多いです。
でも、「うまくいかない」は「伸びしろ」です。子どもと一緒に、何度も試して、学んでいくことができます。
子どもがルールを少しでも守れたとき、それは親子の努力が実った大きな一歩です。
成功も失敗も、すべてが宝物。
わたしたちは、子どもとともに育っていく仲間です。
ADHDのある子どもにとって、「ルールを守ること」は簡単ではありません。
でも、それは“できない子”なのではなく、“やり方が合っていないだけ”かもしれません。
親が工夫をしながら、子どもと一緒にルールを作ることで、子どもは少しずつ「できた!」という自信を育てていきます。
うまくいかない日もありますが、それもまた成長のステップ。
この記事が、同じように悩むママたちの心を少しでも軽くし、「もう一度、子どもと向き合ってみよう」と思えるきっかけになれば幸いです。
