かんなは台で切れる!プロが教える木工の秘訣

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木工の仕上がりを左右する道具、それが「かんな」です。見た目はシンプルながら、その奥には驚くほどの知識と技術が詰まっています。一級家具製作技能士であり、ものづくりマイスターとして、私が現場で培ってきたノウハウを元に、かんなの使い方やメンテナンスの秘訣を余すことなくお伝えします。「かんなは台で切れる」と言われる理由や、二枚刃の秘密、さらには日常での正しい扱い方まで詳しく解説します。この記事を読めば、あなたの木工スキルは確実にステップアップし、作業がより楽しく、そして満足感のあるものになるはずです。シンガポール生まれ、大阪育ちのアラフィフ職人として、木工の楽しさと奥深さをお伝えします。

目次

かんなの基本構造

かんなは、大きく分けて「台」と「刃」の2つの部品で構成されています。多くの方は刃の研ぎに注目しがちですが、実は「台」の調整こそがかんなの性能を左右します。この点は意外と知られていないのではないでしょうか。

「かんなは台で切れる」と昔から言われるほど、台の整備は重要です。どんなに刃を上手に研いでも、台の仕込みが不十分だと全く切れません。逆に、刃の研ぎがそれなりのレベルでも、台の調整次第で驚くほど切れるかんなに仕上げることができます。

台の扱いに注意を!

台の扱いには細心の注意を払いましょう。以下のポイントを守ることで、かんなを長持ちさせ、常に良い状態で使用できます。

  • 置き方:かんなを置くときは、必ず木端面を下にして置いてください。下端面(刃が出る側)を下にして置くと、台が傷ついたり、刃が痛む原因になります。
  • 保管環境:直射日光や湿気を避けましょう。木製の台は環境に敏感で、反りや割れの原因になります。
  • お手入れ:使用後は、かんなの刃と台を軽く油で拭いてから保管してください。これにより湿気を防ぎ、錆を防止できます。

刃の選び方:一枚刃 vs 二枚刃

かんなには「一枚刃」と「二枚刃」がありますが、私がお勧めするのは「二枚刃」です。二枚刃は、江戸時代の職人たちが生み出した先人たちの知恵の結晶であり、木工の仕上がりを格段に向上させる道具です。その最大の特徴は、逆目ぼれ(木目に逆らう切削時のほれ)を防ぐ効果にあります。

二枚刃の構造を詳しく説明すると、主刃の後ろに「裏金」と呼ばれる部品が取り付けられています。この裏金が、削り取られたかんな屑の流れを制御し、木材の表面を滑らかに仕上げるのです。

なぜ二枚刃が逆目ぼれを防げるのでしょうか? それは、主刃が鋭い角度で木材を切り取り、その後すぐに裏金が削り屑を曲げることで、かんな屑が鈍角に変化し、木材の繊維を穏やかに抑えるからです。この仕組みにより、逆目が起きにくくなり、木目に沿った滑らかな仕上がりが得られます。

二枚刃を使うことで、木材の種類や状態に関係なく、安定した美しい仕上がりを実現できます。特に硬い木材や逆目ぼれが出やすい木材を扱う際には、二枚刃の効果が大いに発揮されるでしょう。

かんなの研ぎと台の調整手順

次に、かんなの性能を最大限に引き出すための刃の研ぎ方と台の調整手順について簡単に説明します。詳しくは別のブログで紹介しますので、そちらもぜひご覧ください。

1. 刃の研ぎ

  1. 裏だし:刃の裏側を砥石で平らにします。これにより、刃が正確に木材に当たるようになります。
  2. 砥石の面だし:砥石の平面を整えることも重要です。平らでない砥石を使うと、刃の研ぎが不均一になります。
  3. 刃の研磨:粗砥石、中砥石、仕上げ砥石の順に使い、刃を鋭く研ぎます。
  4. 裏金の調整:二枚刃の場合、裏金の調整も忘れずに行いましょう。刃との隙間を適切に保つことで、逆目の防止効果を高めます。

2. 台の調整

  1. かんな刃の仕込み:刃を台に取り付け、刃の出具合を調整します。この段階で刃が台にしっかりとフィットしているか確認してください。
  2. 下端面の面だし:台の下端面を平らに削ります。これが不十分だと、刃が正確に木材に当たりません。
  3. 下端面の調整:下端面の中央をわずかに凹ませる「調整」を行います。これにより、かんなが滑らかに動き、切削がスムーズになります。
  4. 木端の直角だし:台の木端(側面)が直角であるか確認します。直角が保たれていないと、木材に正確に刃を当てることができません。

まとめ

かんなは木工の基本工具ですが、その使い方やメンテナンス次第で仕上がりが大きく変わります。「台で切れる」と言われるように、台の調整に力を入れることが重要です。また、二枚刃を選び、正しい研ぎと保管方法を実践することで、かんなの性能を最大限に引き出せます。

かんなの手入れや使い方にこだわることは、単に木工技術を高めるだけでなく、先人たちの知恵を感じ、自分なりの木工スタイルを育てる第一歩です。「道具は自分に応えてくれる」と言われるように、丁寧に扱えば扱うほど、その道具は自分の技術を引き出してくれるものです。

木工を愛する皆さん、ぜひかんなの手入れにこだわり、自分の手で最高の仕上がりを楽しんでください。木と向き合う時間が、より豊かで楽しいものになることを願っています。

これからも職人目線で木工の魅力を発信していきますので、お楽しみに!

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