発達障害グレーゾーン児の「困りごと」傾向と家庭支援の重要性

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― 専門家ママが語る、見えにくい悩みと家庭でできる一歩 ―

「なんとなく育てにくい」「でも診断はつかない」——そんな悩みを抱えるお母さん、多くいらっしゃいます。今回は、発達障害の“グレーゾーン”にいる子どもたちがどんな困りごとを抱えているのか、そして家庭でできる支援について、専門家であり母親でもある筆者がやさしく解説します。家庭での工夫が、子どもの力を引き出す第一歩になるかもしれません。

目次

【はじめに】「グレーゾーンってどういうこと?」──見逃されやすい子どものサイン

「グレーゾーン」とは、発達障害の診断がはっきりとは出ていないけれど、生活や学びに困りごとを抱えている子どもたちのことです。

たとえば、学校でお友だちとトラブルが多かったり、注意されたことをすぐに忘れてしまったり…。でも病院では「診断まではいかないですね」と言われてしまう。そんな子たちがたくさんいます。

私自身、障害のある子を育ててきた母として、そして研究者として、たくさんのグレーゾーンの子と関わってきました。今回は、そうした子どもたちの「見えにくい困りごと」と、家庭でできる支え方についてお話しします。

【子ども編】グレーゾーンの子が抱えがちな「困りごと」トップ3

◆ 集団行動が苦手なのはわがままじゃない

ある小学校1年生の男の子は、運動会の練習になると急に教室から出て行ってしまいました。先生は「わがままを言っている」と思っていたそうですが、実は大きな音や声が苦手で、怖くてその場にいられなかったのです。

見た目には「変わった行動」に見えるかもしれませんが、その子なりの理由があるのです。

◆ 感覚の過敏さ・鈍さが「できない理由」になっている

別の子は、手を洗うのが苦手でした。理由を聞いてみると「水が冷たくて痛い」とのこと。実際に私も試してみると、少し冷たい程度。でもその子にとっては、まるで氷のように感じていたようです。

感覚の感じ方は人それぞれです。それが原因で「できない」こともあるのです。

◆ 集中できない・落ち着かない=ADHD傾向?

いつも席を立ってしまう、話の途中で割り込んでしまう…。そんな行動が多い子がいました。まわりの大人から「落ち着きがない」と注意されてばかり。でも、実は頭の中がいつもフル回転していて、止められない状態でした。

これは、ADHD(注意欠如・多動)傾向のある子に多く見られる特徴です。でも本人にとっては「頑張ってるのに止められない」ことが多いのです。

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◆ 育児書どおりにいかない、でも誰にも相談できない

あるお母さんは、「子どもが言うことを聞かないのは私の育て方が悪いのかも」と悩んでいました。でも、誰に相談しても「そのうちよくなるよ」と軽く言われてしまいます。

そんな言葉では、気持ちは楽になりませんよね。

◆ 「わがままに見える」「しつけが足りない」と言われるつらさ

スーパーで子どもが大声を出すと、知らない人から冷たい目で見られる。そんな経験をしたママも少なくありません。でも、それは「しつけ不足」ではなく、「今、その子にとってつらいことが起きている」だけなのです。

◆ 専門家ママも悩んできた道だからこそ、伝えたいこと

私もたくさん悩んできました。「母親なのに、なんでわかってあげられないんだろう」と自分を責めたこともあります。でも、子どもと向き合いながら、少しずつ見えてきたことがあります。それは、「親だけでがんばらなくてもいい」ということです。

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◆ ①環境を整える:「叱らなくて済む」家具の力

たとえば、ある男の子は宿題を始めるまでに30分以上かかっていました。でも、周囲のものが目に入らないように学習机を工夫したところ、すぐに座って集中できるようになったのです。

私たちが開発した「療育家具」も、こうした子の集中を助ける家具の一つです。環境を変えるだけで、子どもの力が自然と引き出されることもあるのです。

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◆ ②気持ちを言葉に:親子でできる簡単なコーピング練習

「イヤだ!」「もうムリ!」と言って泣いてしまう子に、「どうしてそう思ったの?」と聞くのは難しいことです。代わりに、気持ちのカードや絵を使って「今、悲しい?」「イライラしてる?」と選ばせる方法があります。

言葉にすることで、気持ちを整理しやすくなります。

◆ ③「がんばらなくていい」声かけ習慣のすすめ

子どもが失敗したとき、「なんでできないの?」と言いたくなることもあると思います。でも、そんなときは「がんばったね」「最後までやってえらかったよ」と伝えてみてください。

できたことに目を向ける声かけが、子どもを前向きにします。

【おわりに】「普通じゃなくていい」──子どもと一緒に育つ毎日へ

グレーゾーンの子どもたちは、「普通」や「当たり前」と言われることにうまくなじめないことがあります。でも、それはダメなことではありません。

子どもの得意なこと、好きなことを見つけて伸ばしていくこと。それが本当の「育ち」だと私は思います。

家庭は、子どもが安心して戻れる場所。お母さんも、子どもと一緒に少しずつ成長していけばいいのです。

あなたのがんばりは、きっと子どもに伝わっています。焦らずに、今日できることから始めていきましょう。

グレーゾーンの子どもたちの困りごとは、見えにくく、誤解されやすいもの。でも、ちょっとした理解と工夫で、日々の暮らしがずっと楽になることがあります。今回ご紹介した内容が、子育てに悩むお母さんたちの小さなヒントになればうれしいです。あなたのお子さんには、どんな「困りごと」がありますか?ぜひコメントで教えてください。

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