子どもの自信は、毎日の「ことば」から育ちます。特に、発達障がいやADHDのある子どもは、まわりの言葉に敏感で、ちょっとした声かけに大きく反応します。「どうしてできないの？」ではなく、「できたね！」の一言が、子どもの表情と心を変えるのです。私は、専門家として、また母として、日々子どもたちの成長を見守ってきました。この記事では、子どもの特性を理解し、自信を育てる「魔法の言葉」について、わかりやすくお伝えします。今日からできる言葉の工夫を、一緒に始めてみませんか？

はじめに：言葉ひとつで変わる、わが子の未来

子どもは、毎日大人からかけられる「言葉」で、自分の気持ちや行動を決めていきます。特に、発達障がいやADHDのある子どもたちは、自分の気持ちをうまく表すのが苦手だったり、まわりの言葉にとても敏感だったりします。

私は大学で障がいのある子の教育について教えている専門家ですが、一人の母親として、実際に発達障がいのある子を育てています。そして、言葉がけ一つで子どもの表情が変わる場面を何度も見てきました。

この記事では、子どもの自信を育てる「魔法の言葉」について、わかりやすくお話しします。

なぜ「言葉」が子どもの自信を育むのか？

子どもは、大人の言葉を聞いて「自分ってこうなんだ」と感じています。

たとえば、「どうしてこんなこともできないの？」と言われると、「自分はダメなんだ」と思ってしまいます。でも、「よくがんばったね」「ここまでできたね！」と言われると、「自分はできるんだ」と思えるようになります。

特に発達障がいやADHDのある子は、うまくいかないことが多いので、できたことを見つけて、ほめることがとても大切です。

言葉は見えませんが、子どもの心にしっかり届いています。自信は、そうした「ことばの栄養」で育っていくのです。

ADHDや発達障がいの特性を理解して“言葉の処方箋”を選ぶ

発達障がいやADHDのある子は、集中するのがむずかしかったり、思ったことをすぐに言ってしまったりすることがあります。でも、それは性格ではなく「特性（とくせい）」です。つまり、その子の持って生まれた特徴なのです。

そのため、「どうしてちゃんとできないの？」と責めるよりも、「どうしたらうまくいくかな？」と考える声かけが効果的です。

たとえば、「早くして！」ではなく「今は○○をしようね」と具体的に伝えるほうが、わかりやすく動きやすくなります。

また、「がんばってね」より「〇〇をできたね！すごいよ」と言うほうが、自信につながります。できたことを見つけて伝えることが、心のエネルギーになります。

母から子へ——日常で使える“魔法の言葉”10選

毎日の生活の中で、こんな言葉を使ってみてください。きっと子どもの表情が変わってきます。

【日常で使える魔法の言葉】

1「できたね！」

2「前より早くできたよ」

3「ママ、うれしいな」

4「ちゃんと見てたよ」

5「一緒にやってみよう」

6「失敗しても大丈夫だよ」

7「教えてくれてありがとう」

8「気づいてえらいね」

9「あなたのその考え、いいね」

10「ママはいつも応援してるよ」

このような言葉は、子どもの行動を認めたり、気持ちを受け止めたりするものです。

また、兄弟児や家族との関係も、こうした言葉で温かくなります。「弟にやさしくしてくれてうれしいな」「家族のことを考えてくれてありがとう」など、感謝の気持ちも伝えましょう。

ピンチのときほど、「どうすればうまくいくかな？一緒に考えよう」と言えると、子どもは安心します。

おわりに：母のことばが子どもの人生を照らす

私は療育家具を開発したり、教育の研究をしていますが、一番の学びは、わが子の育児から得たものです。

子どもは「できないこと」より「できたこと」を見つけてほめられると、自信をもって前に進めます。

発達障がいやADHDのある子も、「特性があるからこそ育つ力」をたくさん持っています。その力を引き出すのが、お母さんの言葉です。

あなたの言葉が、わが子の人生をあたたかく照らします。今日から、魔法のことばを少しずつ使ってみてくださいね。

発達障がいやADHDのある子どもたちは、それぞれに素晴らしい力を持っています。その力を引き出すには、毎日の言葉かけが大きなカギになります。子どもを責めるのではなく、できたことに目を向け、具体的にほめることで、「自分はできる」と感じ、自信が育ちます。母のことばは、子どもの心の栄養です。今日の一言が、子どもの未来を明るく照らします。さあ、あなたの魔法の言葉で、子どもに笑顔と安心を届けましょう。