「うちの子、どうしてイスに座っていられないの?」そんな悩みを抱えるママたちへ。実は、発達障がいのある子どもたちは、感覚や姿勢、集中のしかたに特性があり、座ること自体がとても難しいことなのです。本記事では、障がいのある子どもの母であり、教育と療育の専門家である筆者が、座りにくさの理由と、子どもがラクに座るための具体的な工夫をわかりやすく解説します。今日からできるサポートのヒントが満載です。
はじめに:うちの子、なんでじっと座っていられないの?
「うちの子、どうしてこんなにじっとしていられないんだろう…」
そんな風に思ったことはありませんか?
発達に特性がある子どもたちは、じっと座ることが苦手な場合があります。それは、わがままだからでも、やる気がないからでもありません。体の感じ方や、集中のしかたが、ほかの子とちがうだけなのです。
この記事では、発達障がいのある子どもが「なぜ座れないのか」、そして「どうすれば座れるようになるか」を、私自身の子育て経験と、研究者としての知識からわかりやすくお伝えします。
知っておきたい!発達障がいの子どもが座りにくい3つの理由
感覚が過敏だったり、鈍かったりするから
イスに座ると「冷たすぎる」「かたくて痛い」など、強く感じる子がいます。逆に、自分の体がどこにあるのかが分かりにくくて、落ちつかない子もいます。これは、体の感覚を感じ取る力に違いがあるからです。
姿勢をキープするのがむずかしいから
背筋をピンと伸ばす、足をそろえる、手を机の上に置く…。大人から見ると簡単に思えることも、発達に特性のある子にとってはとても大変なことです。筋肉の力の入れ方がわからず、すぐグニャッとなってしまう子もいます。
注意が続きにくいから
ADHDのある子どもは、まわりの音や光などにすぐ反応してしまい、集中し続けることが苦手です。「あっ、テレビの音!」「あれなに?」と気がそれて、イスから立ってしまうこともあります。
環境を整えると変わる!安定して座るための3つの工夫
足が床につくイスを使おう
イスに座ったときに、足がしっかり床についているかどうかは、とても大事なポイントです。足がぶらぶらしていると、体が不安定になって落ちつきません。イスの高さを調整してあげましょう。
背もたれ・ひじかけで体を支える
背もたれがあると、より安心して座れます。さらに、ひじかけがあると体のバランスがとりやすく、疲れにくくなります。体が支えられると、長く座ることがラクになります。
静かな場所で集中しやすくする
テレビの音や、おもちゃなど、気がそれやすいものは片づけておきましょう。光がまぶしすぎないようにするのもポイントです。集中できる「静かな空間」をつくるだけで、座りやすさが大きく変わります。
こんな工夫で成功!専門家ママの実践エピソード
私の息子も、以前はイスに1分も座っていられませんでした。でも、足がつく高さのイスに変えたり、背中とおしりにクッションを入れたりして、少しずつ座れる時間が長くなってきました。
とくに、私が共同開発した「イーチェスク」という学習イスは、座りやすさにこだわって作っています。足がしっかり床につき、体をやさしく支えてくれるので、多くの子どもたちに喜ばれています。
「うちの子が15分も座れた!」という声を聞いたときは、本当にうれしかったです。

まとめ:子どもがラクに座れると、ママもラクになる
発達障がいのある子が「じっと座れない」のは、本人のせいではありません。その子に合った工夫をすれば、少しずつ座れるようになります。
無理にがんばらせるのではなく、まわりが工夫してサポートすることが大切です。そして、子どもが少しでも座れたときは、たくさんほめてあげてください。
「座れるようになる」ことはゴールではなく、その先の「学ぶ」「楽しむ」につながる大切な一歩です。
私たち大人ができることは、子どもにとって「ラクに座れる」場所をつくること。その一歩を、一緒に踏み出してみませんか?
おわりに
発達障がいのある子どもが座ることを苦手とするのは、本人の努力不足ではなく、体や感覚の特性によるものです。無理に座らせようとするのではなく、子どもが安心して座れる環境を整えることで、「座れる」が「学べる」「楽しめる」につながります。家具の工夫や集中しやすい空間づくりを通して、子どもの可能性を広げましょう。子どもがラクに過ごせることは、ママ自身の心のゆとりにもつながるのです。